Gmailが未開封メールを「ブロックしますか?」と確認している!到達率を下げるメールは送るな
Googleは近年、迷惑メール対策強化の一環として、Gmailでユーザーが開封していない送信元からのメールを自動検知し、
「〇〇さんからのメールをブロックしますか?」
この送信者から受信したメールを先月は開いていません。
といったブロック提案を表示する機能を導入しました。
下記の画像は実際に2025年3月に32通受信し、1通も開かれることが無かった送信者のメールを今後も受信し続けるか、Googleが確認をしてきたのです。
このブロック提案機能はGoogleのブログ記事で紹介され、2018年4月ごろから世界のメール配信業界関係者によって「Gmailで未読メールにブロック提案が表示されるようになった」と報告されたことで広く認知されたものです。
ユーザーの利便性を高めるサービスに見えますが、IT担当者やメール配信担当者にとっては到達率低下、さらに送信ドメインの評価悪化につながる深刻な脅威でもあります。
Gmailは単なる迷惑メール報告だけでなく、開封状況などのエンゲージメントをもとにフィルタリングを強化しているため、読まれないメールを放置すること自体がリスクになりつつあります。
Gmailのブロック提案機能とは何か
突如現れることがある、Gmailのブロック提案機能。これがどのようなものなのか確認していきたいと思います。
導入の背景と目的
Googleがこの機能を導入した背景には、「迷惑メールゼロ社会」を目指す明確なビジョンがあります。
2023年10月に発表された送信者向けガイドラインにより、2024年から24時間で5,000通以上をGmailに配信する送信者にはなりすまし対策、ワンクリック配信停止の提供、迷惑メール率0.3%未満維持といった要件も課されました。
このブロック提案機能は、その受信者側サポート施策の一環だと考えられます。
ユーザーにとっては、開封していない広告メールを個別に開かずとも、まとめて遮断できる手段となり、ストレスの少ない受信環境を実現します。Google自身も「不要なメールを減らすことで、重要なメールに集中できる」とメリットを強調しています。
仕組みとユーザーへの影響
Gmailでは、長期間開封実績がない送信元からのメールが蓄積されると、アプリやウェブ版の上部にブロック提案カードが表示されます。ユーザーがブロックを選択すると、以後その送信元からのメールは迷惑メールフォルダ行きとなり、受信箱に現れません。
重要なのは、受信者がブロックを実行したことが送信者側に通知されない点です。
つまり、送信ログ上は「正常配信」と見えるまま、実際には受信者に届かない「サイレントブロック」が発生するのです。送信者が異変に気づきにくいことが、問題をさらに深刻化させています。
送信ドメインへの影響とリスク
Gmailの迷惑メールフィルタは、ユーザーのエンゲージメントデータを重視しています。開封もクリックもされない、さらにはブロックされるようなメールを送り続けると、送信ドメインの信頼度が低下します。
信頼度が下がると、同じドメインからのメール全体が迷惑メール扱いされやすくなり、最終的にはGmailサーバー側で受信拒否されるリスクも出てきます。
迷惑メール率が0.3%を超えた場合、Googleは厳しい対応を取る可能性があると明言しており、一度ブラックリスト入りすれば復活は大変です。Google Postmaster Toolsで現状をしっかり把握してください。
Gmailは開封率やクリック率を見ている
Gmailの迷惑メールフィルタは、単なる送信量や配信エラー数だけで判断しているわけではありません。Googleは公式には「個別の開封率そのものを収集しているわけではない」としていますが、実際にはGmail上でのユーザーの操作履歴。
つまり、メールを開いたか、リンクをクリックしたか、返信したかなどのエンゲージメント情報をもとに、迷惑メールフィルタリングに活用していることが広く知られています。
エンゲージメント重視の方針は、近年特に強化されており、
「読まれないメールを送り続けるとドメイン全体のDeliverability(到達率)が悪化する」
という流れを加速させています。Gmail時代のメール配信では、単なる大量配信ではなく、「読まれること」を第一に考えた運用が必須となっているのです。
メールクリーニングを通じてCatch-allメールを管理
こうした状況下で特に重要になるのが、リストの”品質管理=メールクリーニング“です。ただ単にバウンスする無効アドレスを除去するだけでなく、Catch-all設定されているドメインからのメールアドレスも適切に管理する必要があります。
Catch-allとは、存在しないメールアドレス宛でもすべて受信する設定(サーバー側の設定)のことですが、こうしたアドレスには、実際には存在しないお化けのようなアドレスが含まれている場合があります。
Gmailはユーザーエンゲージメントをフィルタリングに利用しているため、こうした「読まれないメール」を放置すると、到達率悪化の温床になりかねません。
つまり、Catch-allドメインから抽出されたアドレスは、本当に有効でエンゲージメントが期待できるかを確認し、必要に応じて除外するべきです。リストに加えるだけではなく、Catch-all対策を施したクリーニングを行うことが、これからのメール運用に必須となります。
IT部門の担当者とマーケティング担当者が求められる対応策とは
メール配信に関わるIT部門の担当者と営業数字などを担うマーケティング担当者は、次のような対策を行うことが重要になっております。
非アクティブ層の整理&排除とエンゲージメント重視の運用
まず、半年以上開封・クリック実績のない受信者を定期的にリストから除外してください。当社も3か月間で1度も開封がないユーザにはメールを配信しないルールを作っております。
この運用を開始する前に、再エンゲージメントキャンペーンを実施して、本当に興味を失ったのか。それとも、一時的なものかを確認するのも有効です。
また、件名や冒頭文の改善、氏名を入れるなどのパーソナライズ強化によって、少しでも開封率・クリック率を高める工夫を続けるべきです。
技術的要件の順守と配信停止環境の整備
SPF、DKIM、DMARCのなりすまし対策の設定は当然として、TLS暗号化送信、ワンクリックで配信停止ができるList-Unsubscribeヘッダーの設置も必須です。
特に、受信者が迷わず配信停止できる環境を整えることで、ブロックを選ばれずに済む可能性が高まります。もう読まないなら、各エンゲージメント指標を悪化させる前に配信停止を希望して欲しいと伝える時代になっております。
最後に
Gmailが導入した「ブロック提案」機能は、単なる便利機能ではありません。これは、読まれないメール、反応のないメールを許容しない世界への明確なシフトを意味しています。
未読・無反応のメールを送り続けることはユーザーにとって迷惑であり、Gmailにとって排除対象となるのです。
Catch-allアドレスの精査を含むメールクリーニング、非アクティブ層の定期整理、エンゲージメントを引き上げるための不断の努力が、これからのメールマーケティング成功の鍵となります。
受信BOXへの安定した到達率を守り、リストを育て続けたいなら、「読まれない相手に送り続けない」という基本的な行動に改めて立ち返るべきです。