IPウォームアップを初めて行う方へ。ウォームアップ不足にならない期間とは?
IPウォームアップは、どのリストに、どのペースで配信するかで成否が大きく変わります。
今回は、初めてIPウォームアップを行う方に向けて、ウォームアップ不足に陥らないための適切な
- 「期間」
- 「進め方」
を解説します。具体的な配信リストの選定、送信スケジュールの組み方、そして完了後の「IP評価の維持」についてもお伝えします。
配信リストは「最も反応の良いお客さま」に絞る
IPウォームアップの初期段階では、リスト全員に一斉送信するのではなく、直近のメール配信でアクション(エンゲージメント)を起こしてくれた方にのみ配信してください。
IPやドメインの評価を高く維持するためには、「メールの開封率40%以上」をひとつの指標として、この数値を上回る配信を行うことが理想です。
直近でメールを開封したり、クリックしたりしている「最も反応の良いお客さま」にターゲットを絞って送信を始めましょう。
高度な抽出機能(SQLやセグメント機能など)を備えたメール配信サービスをご利用であれば、
「過去〇日間メールを開封していない人」
を配信対象外に設定することで、開封率はある程度コントロールが可能です。
読者がメールを開いてアクションを起こすことは、GoogleやMicrosoftなどのインターネットサービスプロバイダ(ISP)に対して、
「このIPとドメインから配信されるメールはユーザーから望まれている価値あるものだ」
というプラスのシグナルになります。
初期にこの優良リストへ送ることで、新しいIPアドレスに対する高い評価をスムーズかつ素早く構築することができます。
到達率が高い「実績あるドメイン」を使用する
IPウォームアップを行うときに、実績がない新規ドメインは絶対に使わないでください。ドメイン評価のせいでメールが届かないリスクがあります。
ドメイン評価のチェック方法はさまざまですが、世界最大級のブラックリスト管理事業者である「Spamhaus(スパムハウス)」の評価ツールを活用するのがおすすめです。
https://www.spamhaus.org/domain-reputation/
こちらのツールで確認し、ドメイン評価のスコアが「10以上」あるドメインを使ってウォームアップを行うことを強く推奨します。
実績のない新しいIPアドレス(青二才IP)であっても、すでにISPから信頼されている評価の高いドメインと組み合わせて使うことで、メールが格段に受信箱へ届きやすくなります。
IPウォームアップの期間について
ウォームアップの基本は、少量のメールからスタートし、計画的かつ段階的に送信量を増やしていくことです。
スタート
初日は50〜100件程度の、非常に少ない件数から始めます。(※正確な通数は、使用するドメインの評価と相談しながら決定します)。
増やし方
毎日(または数日ごとに)一定の割合(例:毎日20%増など)で送信量の上限を引き上げていきます。この引き揚げ方もドメイン評価との相談になります。
期間
目標の送信量に達するまでには、通常4週間から6週間の期間を確保してください。
時間がないと焦って急激に増やすと、迷惑メールフィルターの警戒を強め、かえって時間がかかる原因になります。
送信ペースの調整、スロットリングをする
スケジュールを組む際にもう一つ重要なのが、「配信ペースの調整(スロットリング)」です。
例えば、1日のウォームアップ目標が1万通だとして、朝の8時に一気に1万通を送信するのは危険です。
一度に大量のデータが押し寄せると受信側のシステムに負荷がかかり、かつ評価が定まっていないIPからの大量送信となるため、迷惑メール攻撃と疑われてブロックされるリスクが跳ね上がります。
これは、東京で大雪や停電などで特定の路線が止まった際、駅に人が殺到して入場制限がかかるのと同じ状態です。
1日の送信分を「数時間ごとに分けて少しずつ送信する」ことで、自然なペースを保ち、受信側の警戒を解くことができます。
当社のおすすめとしては、IPウォームアップ期間中は「1時間に1,000通を超えないペース」での分散配信を推奨しています。
Amazon SESが提供する便利なウォームアップ機能
多くの企業が利用しているAmazon SES(Amazon Simple Email Service)では、IPウォームアップを支援する便利な機能が提供されています。
ご自身でウォームアップを行うときの参考にしてください。
自動ウォームアップ機能(標準の専用IP)
新しい専用IPを追加すると、デフォルトで機能がオンになり、45日間かけてシステムが自動的に送信ボリュームを段階的に増やしてくれます。
マネージド専用IPの「逃がし機能」
さらに高度なオプション機能です。ISPごとに個別にウォームアップの進捗を追跡してくれます。
もしウォームアップ中に設定以上の過剰なメールを送ろうとした場合、新しい専用IPの評判を守るために、システムが自動的に「SESの共有IP」を経由して、あふれた分のメールを送信してくれます。
AmazonのSESのIPウォームアップでは、到達率を落とすことなく安全に進めることができます。
完了後の維持には「毎日5,000通以上」を推奨
IPウォームアップが無事に完了し、「届くIPアドレス」という評価を得た後も、その評価を維持するためには継続的にメールを配信する必要があります。
Amazon SESの公式ガイドラインでは、維持の目安として「毎日約1,000件」と記載されていますが、当社はこれを
「毎日5,000通以上」
維持することを強くお勧めしています。
なぜなら、GoogleやMicrosoftなどの主要ISPは、「1日5,000通以上」を大量送信者の一つの区切り(しきい値)として見ているからです。
もし普段1,000通しか送っていない状態で、ある日突然キャンペーン等で5,000通を超えるメールを送った場合、受信側のセキュリティが
「急激な異常送信!?」
と誤検知し、迷惑メール扱いされるリスクが跳ね上がります。
日頃から5,000通以上をコンスタントに送信し、「これくらいの量を送る安全な送信者である」という実績を作っておくことで、いざという時の急激な送信増にも問題なく対応できるようになるのです。
最後に
IPウォームアップはメール配信を行うだけの、決して手っ取り早く終わらせられる作業ではありません。
「4週間から6週間」という期間と、「反応の良い読者への絞り込み」「スロットリングによるペース配分」など、緻密なコントロールが求められます。
しかし、この期間を焦らず丁寧に乗り越えることで、あなたの重要なメッセージは迷惑メールフォルダに落ちることなく、確実にお客様の受信箱へと届くようになります。
ウォームアップ不足のまま見切り発車をしてIPを潰してしまう前に、ぜひ今回ご紹介した数値(開封率40%、スコア10以上、1時間1,000通以内)を目安に、計画的な運用を行ってください。
「自社のドメイン評価が適正かわからない」「安全なスケジュールを組む自信がない」という方は、ぜひプリモポストにご相談ください。
経験豊富なプロフェッショナルが、貴社のメール配信基盤の構築をしっかりとサポートいたします。