【2025年11月施行】Googleがメールの送信者ガイドラインを遵守しない送信者への対策強化をFAQで発表
GoogleはGmail宛ての送信者ガイドラインの英語版のFAQで、2025年11月からはガイドラインを順守しないトラフィックに対する対応を強化すると追加で明示しました。

要点は次のとおりです。
Starting November 2025, Gmail is ramping up its enforcement on non-compliant traffic. Messages that fail to meet the email sender requirements will experience disruptions, including temporary and permanent rejections.
「迷惑フォルダに仕分け」から
「一時あるいは恒久的に受信拒否」
へと罰則が引き上げられるため、メールの到達率低下によるブランドやビジネス損失につながる可能性があります。
同時期に発表されたPostmaster Toolsの変更とリンクして考える
2025年9月に廃止が公表されたGoogle Postmaster Toolsの旧版(v1)は
- 送信IP
- 送信ドメイン
の評価を可視化していましたが、新版(v2)は コンプライアンス(なりすまし対策・メール配信の運用) を中心に評価します。つまり、メールの世界においても「遵守(コンプラ)」が評価で重要視されます。
| 比較項目 | 旧 v1 | 新 v2 |
|---|---|---|
| 評価軸 | 送信IPと送信ドメインの評価 | 送信者ガイドラインの遵守状況 |
| 注目指標 | 迷惑メール0.3%以内 | なりすまし対策(SPF・DKIM・DMARC)、ワンクリックのメール購読停止、迷惑メール0.3%以内 |
送信者ガイドラインで設けられた
- なりすまし対策
- ワンクリックでメール配信機能
- 迷惑メールと通報されないメール運用
これらが強く求められるようになります。ルールを遵守できていない場合、送信メールは”迷惑メール行き”でなく、Gmailの受信BOXに届かないように一時あるいは恒久的に受信拒否となります。
Gmailに届かないの危機を避ける「3つの対策」
Googleの対策強化への影響を避けるために、今すぐ確認すべき「3つの対策」を確認したいと思います。
(1) なりすまし対策の導入と「From:表示ドメイン」と「認証ドメイン」の整合性(アライメント)
| 技術名 | 役割 | 最優先で確認すべき点 |
|---|---|---|
| SPF | 送信元IPアドレスの証明 | include チェーンが10ルックアップ以内か。不存在ドメインを参照していないか。 |
| DKIM | メッセージ改ざんの防止 | 全送信で署名が付与され、d= ドメインが差出人(From:)ドメインと整合しているか。 |
| DMARC | ポリシーと監視 | ポリシーを”none”から”quarantine”や”reject”に上げるさい、現状の棚卸しツールとしてDMARCレポートを分析しましょう。 |
DMARCレポート(RUA)はXML形式でさまざまな受信BOXからレポートが送られてくるため、人間が一つ一つ解析するのは手間暇がかかります。
PowerDMARCのような専門のDMARC解析・管理ツールを導入することで、認証失敗の原因特定や、今後のポリシー移行計画を視覚的に、かつ迅速に進めることができます。
(2) 受信者の意思を尊重する「メール購読停止」機能の徹底
国内外、多くのESPでは既にメール購読をワンクリックで停止できる機能が備わっています。機能が確実に動作するか確認ください。また、メール購読停止は依頼をもらってから48時間以内に送信停止になるか確認ください。
(3) 配信リストの品質と迷惑メール報告率の管理
Googleは、迷惑メール報告率を0.3%未満に抑えることを強く推奨しています。
メールクリーニングサービスを通じてエンゲージメントの低いユーザーをリストから定期的に外し、リストの質を高く保つ必要があります。
Google Postmaster Tools v2で見るべき項目と運用方法
Postmaster Tools v2を最大限に活用し、Googleのガイドラインを遵守していることを可視化し、問題があれば対策を打つ準備をする必要があります。
チェックすべき主な項目は
- SPF・DKIM・DMARC認証:なりすまし対策の設定
- 迷惑メール:迷惑メール報告率の推移
- 配信エラー:メール受信拒否の発生傾向と理由。5xx(恒久拒否)の傾向をすぐに把握できるようにする
DRMER(ドメイン・レピュテーション・マネジャー)が週次でこれらを把握し、閾値を超えたら、(1) 原因特定→(2) 修正→(3) 再評価のワークフローを回す必要性があります。
最後に
Googleが公式FAQで明記した「2025年11月からのenforcement(執行の強化)」とは、単なる運用ルールの更新ではなく、
「技術的に遵守できていない送信者は、SMTP段階で排除する」
という強い明確なメッセージです。
特に影響を受けるのは、ESPや自社配信システムを運用しているエンジニアです。
これまでの「迷惑メールフォルダ入り」レベルでは済まず、上記で示したような内容が正しく動作していなければ、Googleはあなたが配信するメールを配信を受け付けてくれません。
一方で、Postmaster Tools v2 を活用し、これらの項目を常時監視しておけば、影響を受けるリスクを大幅に下げることができます。2025年11月以降は、技術的な設定を単発で整えるだけでなく、継続的な監視と運用の仕組み化が必須となります。