Spamhausに何度も登録される理由と根本対策。迷惑メール評価の仕組みと改善方法
メールを送ったのに届かない。Spamhaus(スパムハウス)に登録されてしまった。そして、デリストしたばかりなのにまたすぐに登録されてしまう。そんな経験をしたメール担当者の方は多いのではないでしょうか。
この問題は「ブラックリストに登録された」こと自体ではなく、迷惑メールと判断される根本原因が解決していないことにより繰り返し発生しています。
今回ご紹介するSpamhausは世界最大級のDNSBL(DNS Black List)プロバイダですが、彼らのリストに登録されると、Yahoo!JAPANや大手メールサーバーがその情報を参照するためメールがブロックされます。
あなたの送信メールが広範囲でネットワークの入口で拒否される、または迷惑メールフォルダに直行するという大きな影響が出ます。
今回はこのSpamhausになぜ何度も登録されてしまうのかをわかりやすく解説し、再発防止策も紹介します。
Spamhausは何をしているのか
Spamhausは、世界中の迷惑メールを監視し、危険な送信元情報をデータベース化して提供している団体です。
- メールサーバー
- セキュリティエンジン
- ネットワーク機器
がこのデータを参照し、迷惑メールをブロックします。
ネットワークの入口で遮断されたり、企業内メールサーバーで拒否されたりするので、メール配信の広い範囲に影響が出ます。
GoogleやMicrosoft(?)は独自評価が中心ですが、関連するセキュリティ製品によって配信に影響することが少なくありません。
Spamhausに何度も登録されてしまう3つの理由
Spamhausに何度も登録される理由は大きく3つあります。
(1) デリスト対応が「応急処置」に過ぎないため
Spamhausの解除申請は、状況説明や一時的な停止で解除される場合があります。ところが、実際の迷惑メールと疑われる原因が残っていると、データベースは再びあなたの送信元を「危険」と判断します。
つまり、デリストは治療ではなく、ただ痛み止めを飲んだだけです。根本原因が残っている限り、再登録は時間の問題です。
(2) スパムトラップにメールを送ってしまっている
スパムトラップとは、迷惑メール送信者を検出するために用意された受信専用メールアドレスです。
実在しないのに送れるアドレスもこれに含まれます。メールリストにこうしたアドレスが混ざっていると、Spamhausから「迷惑メール送信者」とみなされてしまいます。
スパムトラップはエラーを返さないCatch-All設定されたメールである可能性が大なので、通常の配信では検出が困難です。この「気付けない」という構造が、再登録を引き起こす最大の罠です。
(3) 送信ドメイン評価(レピュテーション)が低い
新規ドメインや、配信実績が少ないドメインは評価がありません。すると、少しでも問題のある配信を行った際に迷惑メール側へ傾いてしまいます。
メール送信用の評価が低いことの危険性
受信側のメールサーバーは、初めて見る送信元からのメールに対し、過去の実績がないため「疑いの目」で監視します。
この状態で一度でも大量のメールが一斉に届いたり、迷惑メール報告のボタンが押されたりすると、「危険な配信者」というレッテルを貼られてしまいます。
一度悪化した評価を回復させるには、健全な配信を長期間続ける必要があり、回復までの間は安定したメール配信が困難になります。
大量配信の開始や、いきなり大きなリストを使うと簡単に疑われてしまいます。GoogleのPostmaster Tools(v1)などで、必ず現在のドメイン評価を確認するようにしてください。
Spamhausのリストに載らないための根本的な2つの再発防止策
何度もSpamhausに登録されるのを防ぐには、迷惑メールと判断される要因をひとつずつ取り除く必要があります。ポイントは次の二つです。
(1) スパムトラップを含む問題アドレスの除去
まずは送信メールリストの健全性回復です。ここに害虫のようなメールアドレスが存在すると、どんなに良いメールを送っても送信ドメインは迷惑扱いされます。
また、スパムトラップはエラーを返さない可能性が高いため、一般的なメール送信では検出できません。迷惑メール反応の痕跡から検知できるのが、専用の「メールクリーニングサービス」です。
【メールクリーニングが検出できる「問題アドレス」の具体例】
- スパムトラップ:迷惑メールを配信する事業者を誘い込むためのアドレス
- 使い捨てアドレス:登録時に一時的に使われるアドレス
- 役割アドレス:info@、support@など、複数人で使われるため転送専用でエンゲージメントしないアドレス
- エラーを起こすアドレス:受信BOXが一杯やそもそも存在していないアドレス
日本では当社がメールクリーニングの窓口として、メールクリーニングサービスを提供しており、使い捨てアドレスや危険性の高いアドレスも含めて洗い出せます。
GoogleやMicrosoft、Appleなどの送信者ガイドラインにも書かれていますが、届くリストの管理はメールの安定配信における生命線です。
(2) ドメイン評価の向上
もうひとつの要は送信ドメインの受信BOXに対する信用づくりです。特に、新規ドメインや大規模配信を始める際には、「ドメインウォームアップ」が不可欠です。
ご自宅の郵便受けを想像ください。平成の時代は、とにかく郵便受けの入り口は空きっぱなしで、中に入ったものから人間の手やウィルスバスターなどのソフトを使って仕分けをしていました。
ところが令和の時代は、郵便受けの入り口に仕分け機能が備わり、送信ドメインや件名をみて中に入れるかどうかを判断するようになったのです。
なので、新参ものが大量に郵便物を届けると「怪しい..」としてブロックをかけるのです。
こうならないためにメールを本運用を行う前から少しずつ配信し、徐々に信用を積み重ねることで、受信側に正当な通信と理解されるようにします。
当社は、評価アルゴリズムを踏まえたウォームアップサービスを提供しており、迷惑メール判定のリスクを抑えながら安全に配信規模を拡大できます。
急に大量配信を行って迷惑メール認定されるという「ありがちな事故」を避けるためにも、導入価値は大きくなっています。
迷惑メール扱いは戦略的に防げる
デリストだけを何度続けても、配信するたびに不信を積み重ねていることになり、逆に危険度が増す場合があります。迷惑メール扱いの根本原因を特定し、
- メールクリーニング
- ドメインウォームアップ
の両輪で改善していくことが重要です。
丁寧に信頼を積み上げるメール配信へ舵を切ることで、Spamhaus登録から抜け出し、安定したメール配信が実現できます。
最後に
Spamhausに何度も登録されてしまう理由は、迷惑メール評価の根本改善がなされていないからです。問題アドレスがリストに残っていたり、ドメイン評価が低い状態で大量配信を続けたりすると、必ず再発します。
プリモポスト社の「メールクリーニングサービス」と「ドメインウォームアップサービス」を活用することで、配信品質を裏側から支え、受信側の信用を確保できます。
メールが届く基盤をつくることが、成果につながるメール配信の第一歩です。何度も登録され、メール配信業務が不安定な状態に陥っている方は、当社のメールクリーニングサービスをご利用いただくことからご検討ください。