成功の鍵は心理学にあり。アンカリング効果を利用したBtoBマーケティング

アンカリングとは、人が最初に提示された情報(アンカー)に基づいて後続の判断を行う心理的な傾向を指し、マーケティングにおいて重要な役割を果たしています。

消費者が商品やサービスの価値を評価する際に、最初に提示された価格や条件が基準となり、その後の判断が影響を受けるという効果です。これは、車の一括買取査定を行ったとき、各査定業者が1番最初の見積もり提示にこだわる活動を見てもその重要性を理解いただけると思います。

BtoBでも有益なアンカリング効果

BtoBマーケティングにおいても、アンカリング効果は有益な手法とされています。自社がもつ最高品質かつ最高価格の製品やサービスを前面に押し出すことで、顧客の価値認識を形成し、その後の商談に影響を与えられます。例えば、営業・マーケティング担当者は次のような時に使えるということを理解しておくべきです。

価格提示

アンカリング効果を利用した一般的な例として、価格の提示があります。商品やサービスの価格を提示する際に、高価なオプションを最初に示し、その後に比較的安価なオプションを示すことで、顧客に安価なオプションが「お得」に感じさせることが可能です。

契約条件の提示

BtoBビジネスにおいて、契約条件の提示もアンカリングの一例です。例えば、長期契約を前提とした条件を最初に提示し、その後で短期契約の選択肢を示すことで、短期契約が魅力的に感じられるように誘導することができます。

ダニエル・カーネマン教授によるアンカリング効果の研究

アンカリング効果は学術的にも多く検証されており、強力な心理作用として認識されています。その中でもダニエル・カーネマン教授は、アンカリング効果を含む行動経済学の研究により、2002年にノーベル経済学賞を受賞いたしました。

彼の研究は、人間が合理的な選択をする「完全なる経済人」の仮定に疑問を投げかけ、人間の意思決定が認知バイアスや心理的要素に影響を受けるという新たな視点を提供しました。

特に注目すべきは、「損失回避性」という概念です。これは人間が得ることの喜びよりも失うことの悲しみの方が強いという心理的な傾向を指し、これが意思決定に大きな影響を与えるという考え方です。

また、カーネマン教授は「経験」と「記憶」の間に存在する矛盾についても研究しています。

例えば、ある人が1週間の休暇で美しいビーチに行き、毎日楽しく過ごすも、最後の日にサンゴ礁で足を切った場合、その人は全体としてネガティブな感想を持つかもしれません。これは経験と記憶の間のギャップを示しています。

最後に

「アンカリング効果」は、最初に提示された情報がその後の判断基準となる心理的な現象です。

アウトバウンドコールにおいて、高価なプランを最初に提示し、その後に手頃なプランを提案すると、顧客は後者を「お得」に感じる可能性があります。

カーネマン教授の研究は、私たちが経験と記憶をどのように異なる方法で処理し、それが私たちの選択と行動にどのように影響を与えるかを示しています。また、アンカリング効果を活用したアウトバウンドコールは、営業やマーケティングの一環として非常に有効な手法であり、顧客の意思決定を有利に導くことが可能です。

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