7つのタッチポイントでいいの?BtoBマーケティングにおける購入者のカスタマージャーニーマップ
BtoBにおける購入について確実に言えることの一つは、即決することがほとんどないということです。購入者はWEBで検索のうえ情報を収集し、可能性がある選択肢を比較検討します。その過程で自社サービスを見つけてもらえるかもしれませんし、埋もれることも当然あります。
BtoBの長い購入プロセスにおいて、できる限り不要な混乱なくゴールにたどり着くため、適切なタイミングで適切なコンテンツや情報を提供することが重要となります。
BtoBマーケティングを行う多くの事業者が、購入者を購入段階へと導くためブログなどのコンテンツマーケティングを活用しています。しかし、適切なタイミングで適切なコンテンツを判断することは可能でしょうか。
見えないお客さまが最も必要とされるタイミングで専門的な情報を提供しないとリード生成の機会を逃し、問題解決の価値を提供できなくなります。
この問題を解決するために、BtoBマーケティングに不可欠な戦略であり、技術の変化とともに年々変化を続けるカスタマージャーニーマップが存在します。
購買プロセスを可視化できる購入者の立場に立つことで、購入者が何を知りたがっているのか、いつ知りたがっているのかをよりよく理解することができます。
今回は、BtoBカスタマージャーニーマップとは何か、なぜカスタマージャーニーマップが重要なのか、あらゆるお客さまの購買プロセスをマッピングするために不可欠な3つのステップを解説します。
BtoBカスタマージャーニーマップって何?
BtoBカスタマージャーニーマップとは、事業者間取引における認知から購入決定までの道のりを示したものです。BtoCは、個人もしくは家族の財布からの支出になるため、購入プロセスは比較的シンプルですが、BtoBは複雑で手間暇がかかります。
BtoBマーケティングにおいては、各業界の特有なニーズや課題に対して、見込み客から積極的にナーチャリングしていく必要があります。古典的なBtoBモデルにおいて購入は、次の3フェーズを経ます。
大雑把なプロセスはすごくシンプルに感じますが、組織の規模感や購入する商品・サービスによって複雑なプロセスを経ることになります。
BtoBカスタマージャーニーマップなぜ重要なのか?
BtoBの購買活動はつねに
- 複数のステークホルダー
- 予算の制約
- 目標
が関わってきます。また、ステークホルダーの役割も、
- 業界
- 分野
- 企業
によって異なります。そのため、BtoBの購買決定には時間がかかり、数ヶ月から数年に及ぶことが珍しくありません。
BtoBの購買プロセスには予測困難で複雑なプロセスが発生します。典型的なBtoB購入においては、次の6つの購買に関連活動を繰り返します。
- 問題の特定:「何かしなければならない」
- 解決策の調査:「私たちの問題を解決するためにどんな価値があるか?」
- 要件の定義:「購入するものに具体的に何を求めるか?」
- 仕入先の選定:「これが私たちの望むことをするか?」
- 検証を実施:「正しい答えだと思うが、確信を持つ必要がある」
- 合意の形成:「全員の同意を得る必要がある」
複雑なことに、購入者は即座の問題を解決するために購入を検討しているわけではありません。
BtoBにおける商品やサービスの購入は、ほぼ組織の変革によって生まれると言われています。つまり、購入者が長期的な内部の課題を解決するために、購入を検討していることが多いということです。
このような方は、さまざまなタイミングで
- ウェブサイトにアクセス
- SNSをチェック
- インタラクティブツールを使用
- 他のデジタルチャネルを利用
をします。
カスタマージャーニーをマッピングすることで、BtoBにおける購買プロセスにおける複雑さから一歩引いて、シンプルで効果的な購入への道筋を作ることができます。
リアルタイムのデータを活用することで、カスタマージャーニー全体を通して、パーソナライズされた体験やインタラクションを提供することができ、購入者に時間を無駄にしていると感じさせないようにすることができます。
カスタマージャーニーマップの鍵
見込み客はカスタマージャーニーにおいて様々なプラットフォーム上のコンテンツで情報を収集を行い、問題解決そ目指します。何を探しているかは、それぞれがカスタマージャーニーのどの段階にいるかによって異なります。
各フェーズにおける効果的なコンテンツには、次のようなものがあります。
認知フェーズ
- ブログ
- SEOにおける検索結果
- ソーシャルメディア投稿
- 各WEB広告
検討フェーズ
- 動画による解説
- 必要な物事のチェックリスト
- ホワイトペーパー
決定フェーズ
- 競合との比較表
- ロイヤリティプログラム
- 価格情報
カスタマージャーニーをマッピングした後は、各フェーズ意思決定者が考えるであろう”疑問”に対し、”解”を発見するコンテンツを戦略的に計画し提供します。
例えば、BtoBのマーケティング担当者が、リード生成のための認知フェーズのコンテンツとしてブログが効果的であると考えています。
WEBの黎明期から情報発信のために使われるブログは、各事業者が見込み客に「3つのE」(教育、エンターテインメント、専門知識)を提供するための強力な手段です。
ところが、カスタマージャーニーの決定フェーズに近づくと、ブログ記事は認知フェーズと同じような影響力を発揮しません。決定段階の購入者は既に必要な情報を集めているからです。
今、彼らが探しているのは、競合他社ではなくあなたの会社を選ぶ具体的な理由なのです。
カスタマージャーニーのマッピングに不可欠な3つのステップ
BtoBのビジネスにおいて、購入者のカスタマージャーニーを考えるうえで、次の3つを考えることが大切です。
1. 購入者(お客さま)のペルソナをつくる
あなたのお客さま。ターゲットは誰なのか? BtoBマーケティングにおける見込み客と効果的にコミュニケーションを取るには、まず購入者のペルソナを定義することから始めましょう。
購入者のペルソナとは、
- 業界
- 分野
- 企業規模
- 職種
- 人口統計などの洞察
などのデータを含み、擬人化された見えない存在を示します。
2. 購入者が抱える課題と自社で提供できる価値とは
理想的な購入者とその意思決定プロセスにおける役割を定義したら、「購入者が何を考えているだろうか?」と考えます。
購入者が直面している課題と、その課題を解決するために必要な情報は何かを考えることです。人は快楽を得るため、もしくは痛みから逃れるために活動します。その活動をWEBの検索ワードで確認することができます。
また、購入者が直面している課題を確認したうえで、自社がどのような価値を提供できるか確認します。購入者は”問題解決の価値”を検討段階では目にするため、競合他社がWEBサイト等を通じてどのような価値を総合的にアピールしているかを確認が必要です。
3. タッチポイントを定義する
この表は、認知から購入、FUN化までのタッチポイントを示すものです。上部がデジタルのタッチポイントで、下部が人的なタッチポイントを示します。
BtoBにおけるカスタマージャーニーを通じ、事業者と潜在顧客との間の様々な接触点を指します。
タッチポイントは、事業者が潜在的な顧客と
- エンゲージする
- 影響を与える
- 関係を築く
これらの活動のために重要な瞬間です。マーケティングタッチポイントには、オンラインおよびオフラインの活動が含まれます。
- WEB広告クリック
- チャットボットのやり取り
- 会議やイベント
- メールコミュニケーション
- インフルエンサーの言及
- セールスコールやデモ
- SNSのエンゲージメント
- WEBページの閲覧
これらのタッチポイントを理解し最適化することは、BtoBのマーケティング担当者が一貫性のあるマーケティング戦略を作成・実行するために欠かせません。
これらの活動を戦略的に管理し強化することで、企業は潜在的な顧客をカスタマージャーニーを通じてコンバージョンへと導き、長期的な関係を築く可能性を高めることができます。
BtoBカスタマージャーニーのタッチポイントには、
- サンキューメール
- アンケート
- 初期導入支援
- アップセルのプロモーション
- SNS
- ブログ
を通じた継続的なエンゲージメントが含まれます。
ポイントはBtoBのマーケティングにおいて、購入者が商品やサービスに触れる方法がたくさんあるということです。古くからの定説として、BtoBのマーケティング担当者は、見込み客を顧客に変えるには7つのタッチポイントが必要だと提案する人もいます。
ただ、これはBtoBのカスタマージャーニーが直線的であれば指針として機能します。事実、契約に至るまでに50回以上商品やサービスにタッチすることもあります。
これらのタッチポイントが購入者の購買プロセスをどう導くかを理解し、BtoBカスタマージャーニーに合わせてコンテンツを調整することで、すべてのタッチポイントを一方向に動かすことです。
マーケティングコンテンツを作成する前に、いつ、どのように購入者とやり取りするかを計画する必要があります。
購入者は一歩進んでは一歩後退し、時には停滞する。この活動こそが、カスタマージャーニーにおけるすべてのタッチポイントが、見込み客のニーズをサポートし、疑問に答え、次のフェーズへと押し進める役割を果たすべき理由なのです。
BtoBビジネスと言っても、人は人。昨今、BtoCスタイルのパーソナライズされた体験を期待しています。すべてのウェブサイト訪問者に、各カスタマージャーニーのフェーズでパーソナライズされたコンテンツを提供してください。
最後に
BtoBマーケティングの成功には、購入者の複雑な購買プロセスを深く理解し、適切なタイミングで効果的なコンテンツを提供することが不可欠です。
カスタマージャーニーマッピングを活用することで、購入者のニーズに応じたパーソナライズされた体験を提供し、長期的な関係を築くことができます。
こうした取り組みが、競争の激しい市場で自社を際立たせ、より高いコンバージョン率と持続的な成長を実現する鍵となるでしょう。