Google Postmaster Toolsを導入したら、まず“ドメイン評価”を確認しよう
Google Postmaster Tools(GPT)は、Gmail宛てに送信したメールの状態を確認できる、唯一のGoogle公式の無料ツールです。SPFやDKIMで認証されたメールに対して、迷惑メール率、IPやドメインの評価、配信エラーなどが可視化されます。
中でも最も重要なのが、「ドメインレピュテーション(Domain Reputation)」。あなたの送信ドメインがどれだけGoogleから信頼されているかを示す指標で、Gmailのスパムフィルターが
「受信トレイに入れるか」or「迷惑メールフォルダに送るか」
を判断する際の最重要基準です。本日は、Google Postmaster Toolsを導入したら、まず見て欲しいドメイン評価についてお届けいたします。
Googleによるドメイン評価は4段階。あなたのドメインはどこに分類されている?
Google Postmaster Toolsのドメイン評価は、次の4段階で表示されます。
評価 | 説明 | 到達イメージ |
---|---|---|
高 (High) |
非常に信頼されている。迷惑メールの報告が少なく、認証もOK | 受信トレイに高確率で届く |
中 (Medium) |
一定の信頼はあるが、まったく問題がないわけではない | 一部が迷惑メールフォルダへ |
低 (Low) |
迷惑メールの指摘が多く、認証や配信方法に課題あり | 迷惑メール扱いが増える |
悪い (Bad) |
深刻な問題あり。大量に迷惑メールと判断されている | ブロック、もしくは完全未配信も |
ここでの最大のポイントは、「悪い」評価のIPやドメインから送られたメールは、受信トレイにほぼ届かないということです。 一方、「低」や「中」の評価でも、受信トレイに届く可能性は残されていますが、明らかに成功率は低下します。
中(Medium)でも実はよくない。開封率が20%程度になる?
SocketLabsの調査によると、ドメイン・IPレピュテーションと開封率の間には明確な相関関係が確認されています。
評価 | 開封率(平均) |
---|---|
高(High) | 36.35% |
中(Medium) | 20.07% |
低(Low) | 17.18% |
悪い(Bad) | 0.84% |
高評価から中評価へ評価が下がると、開封率は約16ポイント低下し、実に45%近く減少します。 つまり、評価が1ランク落ちるだけで、メールを読まれる確率が約半分になる可能性があるのです。
「届けられているつもり」
でも、実際にはユーザーに”見られていない=迷惑メール扱いされている”ということが多く、ビジネス上の重要なメールも埋もれてしまいます。そのため、ドメイン評価は“高”であることが大前提です。
送信元のIPアドレスの評価が悪ければ、更に悪影響がでます。ここで認識していただきたいのが、評価が”中”では良くないということです。
ドメインの評価改善には“時間”がかかる。だから、今すぐ確認を
Google Postmaster Toolsで表示されるドメイン評価は、Postmaster Toolsに追加されたドメインに対して行われます。評価対象は、そのドメインからGmail宛てに送信されたすべての「認証済みメール」です(SPF・DKIM・DMARCのなりすまし対策が必要)。
1つのドメインから
- トランザクショナルメール
- メルマガのメール
- 個別のやりとりメール
など、さまざまな種類のメールを送っている場合、それぞれのメールの成果がまとめて評価され、1つのスコアとして数字が算出されます。
つまり、一部で悪い運用があると、ドメイン全体の評価に影響することになります。
また、Googleでは評価データを日ごとに表示していますが、実際の評価は過去の一定期間(数週間〜数か月)にわたる送信履歴をもとに計算されています。そのため、今の評価には過去のメール配信の結果がまだ反映されており、改善を始めてもすぐには変化が現れません。
このような設計により、評価が急に大きく上下しないように安定性が保たれている一方で、運用を見直しても、その効果が数字に現れるまで時間がかかるという点に注意が必要です。
なお、Google Workspaceの受信アドレス(@primoposto.co.jpなど)に送信されたメールについては、Postmaster Toolsでは評価されません。Gmail(@gmail.com)宛ての送信が評価対象となります。
最後に
Google Postmaster Toolsを導入したら、最初に確認すべきは「ドメイン評価」です。メールが「届いている」ように見えても、高評価以外は迷惑メールフォルダに振り分けられ、実際には読まれていないケースが多数存在します。
特に中評価では開封率がわずか20%前後まで落ち込み、高評価と比較して約45%も見られる可能性が低くなるという調査結果もあります。つまり、評価が1ランク下がるだけで、ビジネスチャンスを半分近く失っているかもしれないのです。
しかも、ドメイン評価は過去の送信履歴に基づいているため、改善対策を開始してもすぐには反映されません。ドメイン評価の回復には数週間から数か月かかることもあります。
「届いているつもり」のまま放置せず、今の評価を把握し、必要な対策を始めることが最優先です。誰かがやるのではなく、組織のために主体性をもってぜひお取組ください。
当社が提供するドメインウォームアップなどの対策を計画的に実施すれば、評価を着実に「高」へ引き上げることも可能です。
Google Postmaster Toolsは、Gmail宛てのメール配信における唯一の“診断ツール”です。あなたのドメインがGoogleはもちろん、お客さまからどのように見られているか、正しく知ることからすべてが始まります。