再確認しよう!特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)について
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律、特定電子メール法は、スパムメールの問題を解決するために2002年に制定されました。この法律は、事前の同意を得ずに特定の電子メールを送信することを制限し、送信者情報の明記や送信拒否の申し出に応じる義務を定めています。
特定電子メール法の主な内容
特定電子メール法には主に次のような内容が規定されています。
同意を得る
特定電子メールの送信には、受信者の事前同意が必要です。例えば、ウェブサイト上でメルマガの受信を希望する旨をチェックしてもらう、メールで直接同意を求めるなどの方法があります。
ただし、すでに取引関係がある場合やレシートにメールアドレスを記入してもらうなど、受信者からの同意を合理的に推定できる場合は例外とされています。
送信者情報の明記
送信者の名前や連絡先など、送信者情報を明記することが求められます。受信者が送信者を特定できるようにするためです。一般的には、メールの最後に送信者の情報(企業名、住所、連絡先等)を明記します。
送信拒否の申し出に応じる
受信者がメールの送信を拒否する申し出をした場合、送信者は即座にその申し出に応じる必要があります。メール内に「配信停止」または「配信拒否」リンクを設け、クリック一つで配信停止ができるようにするのが一般的です。この基本的な3項目は、メールマーケティングを行う企業に対して、受信者のプライバシーを尊重し、その意志を尊重することを求めています。個人の情報やプライバシーを守るため、また、スパムメールによる迷惑を防ぐための重要な措置です。
特定電子メール法に違反した事例
特定電子メール法に違反した事例として、株式会社MOTHERのケースがあります。この事業者は、自社が運営するウェブサイト「MOON」の広告または宣伝を行う電子メールを送信したことで、総務省及び消費者庁から措置命令を受けました。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban18_01000036.html
具体的な違反内容は以下の通りです。
受信者の同意を得ていない
株式会社MOTHERは、少なくとも平成29年10月8日から平成30年1月24日までの間、「MOON」に関連する特定電子メールを送信するに当たり、受信者の同意を得ておらず、特定電子メール法第3条第1項の規定に違反していました。
同意する旨の記録の保存をしていない
同社は、当該特定電子メールを送信するに当たり、受信者の同意する旨の記録の保存行為を行っておらず、特定電子メール法第3条第2項の規定に違反していました。
送信者の名称及び受信拒否ができる旨等を表示していない
同社は、当該特定電子メールの一部において、少なくとも平成29年10月8日から平成30年1月25日までの間、送信者の名称及び受信拒否ができる旨等を表示しておらず、特定電子メール法第4条の規定に違反していました。
これらの違反行為により、総務省及び消費者庁は、平成30年3月6日付け文書にて、株式会社MOTHERに対し、法第7条の規定に基づき、電子メールの送信の方法について法第3条第1項及び第2項並びに法第4条の規定の遵守を命じる措置命令を行いました。
このように、特定電子メール法の規定を無視したメールマーケティングは、法的な問題だけではありません。長く総務省のHP上にコンプライアンス違反をしていた事業者として名前が残るのです。企業の信頼性を大きく損なうのは間違いありません。適正なメールマーケティングを行うためには、特定電子メール法の規定を理解し、それに従った行動をとることが求められます。
最後に
特定電子メール法は、メールマーケティングを行う事業者に対し、受信者の同意を得ること、送信者情報を明記すること、送信拒否の申し出に応じることを義務付けています。
これらの規定は、受信者のプライバシーを守り、スパムメールによる迷惑を防ぐためのものです。特定電子メール法に違反すると、消費者庁から警告や改善指導を受ける可能性があります。また、企業の信頼性を損なう可能性もあるため、適正なメールマーケティングを行うためには、特定電子メール法の規定を遵守することが大切です。